日本の技術輸出の実態(平成11年度) 省所課 究 学研析 策 科政分 術 部校報 学 文科情 1.調査目的 本調査は、技術輸出の実態を把握し、我が国の技術貿易の特徴を明らかにすることを 目的として、平成11年度1年間に締結された「新規の技術輸出契約」の件数・契約形態・ 対価の受取方法等について多面的な分析を行ったものである。 2.調査概要 ●調査方法及び回収状況 ① 周査対象契約 ② 周査方法 ③ 周査対象企業 ④回収結果 ●調査項目 ① 企業について ② 輸出技術にっいて ③契約相手先について ④契約条件 ●「技術輸出」の定義 平成11年度の1年間に締結された技術輸出契約 郵送によるアンケート調査 資本金10億円以上の製造業すべてと技術貿易に関連がある 企業のうち平成9年度、10年度に回答のあった企業(1,734社) 回答企業数1,237社(回収率71.3%) 業種、資本金規模 技術の内容、技術分類、技術の種類、先端技術分野 輸出先国・地域、資本関係 契約期間、契約形態、対価受取方法、独占権・再実施権の有無 外国との間において工業所有権(特許・実用新案・意匠・商標)及びノウハウに関する権 利の譲渡、実施権・使用権の設定や技術指導及びソフトウェアの輸出をした場合をさす。 1 3.調査結果の概要 平成11年度に新規の技術輸出を行っている企業数は、平成8年度を ピークとして減少傾向にある。 (→P.3,4) 平成7年度にアジアが約3分の2を占めたが、平成8年度に減少に転 じて以降、比率に大きな変動は見られない。 (→P.5,6) ゾーン別にみると、資本関係のある企業への輸出の比率は、アジアで 高く42.8%を占めているのに対し、ヨーロッパでは17.50/o、北米では 25.8%となっている。 (→P.7) 科学分野の中でも特に「医薬品」は資本関係のない企業へ多く輸出を 行っている。 (→P.8) 資本関係のない企業へはイニシャルペイメント有りの比率が高く、資 本関係のある企業へはランニングロイヤルティ有りの比率が高い。 (→P.9) クロスライセンス契約件数の経年推移をみると、平成11年度は、落ち 込んだ前年度と比較して12件の増大、全体に占める比率も5.7ホ.イント 増えている。 (→P.13) 2 4.平成11年度の概要 4-1-1.新規技術輸出の実績(1) 平成11年度に「新規の技術輸出がある」と答えた企業は127社であり、平成 8年度をピークとして減少傾向にある。 ) 催o 3 技術輸出契約の有無の推移(資本金規模別) ■10億円~ 50億円 ■50億円~ 100億円 ロ100億円~ 500億円 ■500億円以 上 (※注)平成11年度は前年度に何らかの回答があった企業に絞り込んでアンケート調査を行ったが、回収率は 710/oと前年を下回ったため「新規の輸出がある」企業は大きく落ち込んでいる。 仮に回収率を100%まで上げたとしても180社程度にとどまり、減少傾向にあると考えられる。 3 4.平成11年度の概要 4-1-2.新規技術輸出の実績(2) 資本金規模との関係を比率でみると、「資本金500億円以上」の企業が54.0% と6.6ポイント増加し、「資本金100億円以上500億円未満」の企業では前年 度より4ポイント減少しており、大企業への集中傾向にある。 技術輸出契約件数の比率の推移(資本金規模別) ■10億円~50億円 ロ100億円~500億円 ■50億円~100億円 ■500億円以上 (※注)N値とは、有効回答数を表すものとする。(本書の図表中におけるN) 4 4.平成11年度の概要 4-2-1.技術輸出先(1) ●ゾーン別 ■ 平成7年度にアジアが約3分の2を占めたが、平成8年度に減少に転じて以降、 比率に大きな変動は見られない。 技術の輸出先 5 4.平成11年度の概要 4-2-2.技術輸出先(2) ●国・地域別 国・地域別にみると、上位国・地域は米国、中国、台湾、韓国、タイとなっており、 平成4年度からこの5カ国・地域が上位を占めている。 全体的に件数では落ち込んでいるが構成比を経年で見ると、現在の上位3か 国・地域(米国・中国・台湾)は伸び続けている。 6 4.平成11年度の概要 4-3-1.契約先との資本関係(1) ●ゾーン・技術分野別 ゾーン別にみると、資本関係のある企業への輸出の比率は、アジアで高い (42.80/o)のに対し、ヨーロッパでは17.5%、北米では25.80/oとなっている。 技術分野別にみると、資本関係のある企業への輸出は、「化学」分野(24.20/o) において他の分野より低い傾向がある。 ■2分の1以上の所有 □ 資本関係なし ■2分の1未満の所有 ■その他 (※注)「資本関係がある」とは、契約相手先企業の株式または持分を所有していることを指す。 「その他」とは、契約相手先企業が株式または持分を所有していることを指す。 7 4.平成11年度の概要 4-3-2.契約先との資本関係(2) ●技術分類別 化学分野の中でも、特に「医薬品」は資本関係のない企業へ多く輸出を行って いる。 輸送用機械 電子部品・デバイス 発送電・配電・産業 用電気機械 電子計算機 民生用電気機械・電 球・照明器具 非鉄金属 医薬品 その他の化学製品 金属製品 有線・無線通信機械 ラジオ・テレビ・音響 器具 有機化学 資本関係別割合(技術分類別) ■2分の1以上の所有 □資本関係なし ■2分の1未満の所有 ■資本関係なし(日系企業) 牛牛牛牛牛牛牛牛牛牛牛牛 イイィイィイイイィイイィ 0 8 9 1 0 0 9 7 6 5 4 3 6 3 2 2 2 2 1 1 1 1 1 1 = = = = = = = = = = 一一= N N N N N N N N N N N N 8 4.平成11年度の概要 4-4-1.対価の受取方法(1) ●資本関係・ゾーン別 資本関係のない企業へはイニシャルペイメント有りの比率が高く、資本関係の ある企業へはランニングロイヤルティ有りの比率が高い。 資本関係別 平成9年度 平成10年度 平成11年度 2分の1以上の所有 2分の1未満の所有 資本関係なし アジア 対価の受取万法 ■ イニシャルのみ ■ イ二十ラン十ミニ ロランニングのみ ■ イニシャル十ランニン ■ ランニング+ミニマム N=549件 Nニ604件 Nニ318件 Nニ34件 Nニ82件 Nニ200件 N=57件 N=47件 (※注)イニシャルペイメントとは、 契約発効時に、売上高に関係なく独立的に支払われる実施料。 ランニングロイヤルティとは、 契約製品の売上高に応じて支払われる実施料や、期間あたり実施料。 ミニマムペイメントとは、 ランニングロイヤルティを設定する場合に付加するもので、予定売上高より少い場合でも、 最低限の対価を確保するために設定されるもの。 9 4.平成11年度の概要 4-4-2.対価の受取方法(2) ●国・地域別 資本関係のある企業への輸出の比率が高い東南アジア諸国では「イニシャル ペイメント有」の比率が低く、一方、資本関係のない企業への輸出の比率が高 い韓国、台湾では「イニシャルペイメント有」の比率が高くなっているものと思わ れる。 ■イニシャルのみ ■イ二十ラン十ミニ ロランニングのみ ■イニシャル十ランニン ■ランニング+ミニマム 10 4.平成11年度の概要 4-4-3.ランニングロイヤルティの料率 輸出先企業との資本関係別にみると、資本の2分の1以上を所有している企業 に対しては50/・未満の料率での比率(69.oo/・)が高く、資本関係のない企業に 対しては単価建て契約(33.1%)の比率が高くなっている。 ■2%未満 ■8%以上 ■5%未満 ロ単価建て契約 ロ8%未満 ロ期間あたり契約等 (※注)料率とは、 ランニングロイヤルティを設定する場合に、売上高に応じて支払われる実施料の割合。 単価建てとは、 ランニングロイヤルティを設定する場合に、売上高の金額に関係なく、売上個数に応じて支払われる実施料。 11 4.平成11年度の概要 4-5.技術取引の種類 技術取引の種類についてみると、「特許」有りは43.5%、「ノウハウ」有りは 73.5%、「商標」有りは8.7%となっている。 ゾーン別にみると、アジアは欧米と比べて「特許」有り(32.7%)の比率が低く、 「ノウハウ」有り(87 .go/・)の比率が高い。 ・商標1 12 4.平成11年度の概要 4-6.クロスライセンス契約 クロスライセンス契約件数の経年推移をみると、落ち込んだ前年度と比較して、 平成11年度は12件の増大、全体に占める比率も5.7ホ.イント増えている。 輸出先(ゾーン別) N=42件 受取り方 Nニ42件 技術分類別 N=42件 1■ 北アメリカ ・その他1 一件数 ■ 比率 一2 .4% 7.1%.■ 13 ●内容に関する問い合わせ先 科学技術政策研究所情報分析課担当深澤、神田 TELO3-3581-0547(直通)FAXO3-3503-3996 ホームヘーソhttp=//www.nistep.goJP 14