NISTEP Report No.66 科学技術指標(平成12年版)の概要 平成12年4月28日 科学技術政策研究所 1.経緯 科学技術指標は、科学技術活動の状況を定量的に指し示すもの。当研究所では、平 成3年(1991年)9月に最初の報告書を発行して以来、ほぼ3年ごとに指標報告書を 発行しており、今回の平成12年版は第4版となる。 科学技術指標に関する報告書は、米国、EU、フランス、中国をはじめ、世界の多くの国 で作成されている。その先駆け的な存在は、1972年以降、米国NSFが2年ごとに発行し てきた“Science and Engineering Indicators”(最新版 第13版:1998年2月)であり、ま た、OECDも早くから継続的に作成してきた。我が国では、1984年に科学技術庁資源 調査所(当時)に「科学技術指標研究会」が発足し、日本に適した科学技術指標の体 系を作成しようとする試みが開始されている。1988年に科学技術政策研究所が設立さ れる際には、科学技術指標の開発が研究所の設立趣旨の一つとして位置づけら れ、1991年に第1版が公表された。その後、ほぼ3年ごとに改訂されてきている。な お、EUでは、1994年に“European Report on Science and Technology Indicators”を公 表している。(最新版 第2版:1997年12月) 2.第4版とりまとめ方針 1. 指標報告書の最も基本である「現状評価型」としての機能を一層充実させ、科 学技術活動に関する最新のデータを幅広く収録。 2. 政策の策定やそのための議論に役立つよう配慮。(政策指向型へ) ・国際比較データの充実等により日本の科学技術の問題点・弱点を提示 ・政策策定上の重要論点に関連した指標を提示 3. データの得られた条件や性質等データを解釈する際に注意すべき点について できるだけ詳しく記述。また、科学技術に関する統計の限界や留意点、さらに は統計の不足についても、できるだけ明確にし、今後の科学技術統計の充実 に資するよう留意。 4. 新たな指標の可能性を追求。 3.概要:最近の科学技術の動向 3?(1) 研究開発費 日本の研究開発費は、1990年代前半に停滞したが、1990年代後半にふたたび増加。 産業界の研究開発支出の持続や政府の科学技術関係経費の増額により1995年から 1998年度まで4年連続の増加。 【図1-1-1】 (A) 主要国の研究開発費総額の推移(名目値;OECD購買力平価換算) 1 注: 各国とも人文・社会科学を含む。 ドイツの1990年までは旧連邦地域のみ。 資料: 各国研究開発統計 研究開発費の対GDP比については、日本ではGDPが下がり研究開発費が増額してい ることから大幅な上昇。 【図1-1-2】 主要国の研究開発費の対GDP比の推移 注: 図1-1-1と同じ 資料: 各国研究開発統計 一方、1998年の政府の研究開発費負担割合は21.7%であり、相変わらず諸外国に比べ 低い。 【図1-1-5】 主要国の政府の研究開発費負担割合の推移 2 資料: 各国研究開発統計 平成8年7月に閣議決定された科学技術基本計画のもとで、政府の科学技術関係経費 (予算)は着実に増加し、「平成8年度から12年度までの科学技術関係経費の総額の規 模を約17兆円とする」との目標を達成。競争的な経費の割合は未だ10%未満。 【図1-1-6】 科学技術基本計画のもとでの科学技術関係経費の推移 資料: 科学技術庁資料 3?(2) 研究人材 日本の研究者数は順調に増加。(但し研究者数については各国の統計の整合性に問 題あり) 【図1-2-1】 主要国の研究者数の推移図 3 資料: 各国研究開発統計 大学入学志願者数は、近年、経済系の志願者が著しく減少する一方で、理工系の志願 者は横ばいに推移している。 【図1-2-6】 大学の延べ入学志願者数と倍率の推移 資料: 文部省「学校基本調査」 次へ 4